どんなもの?
新体操の演技評価中の審判の眼球運動をトラッキングし、各審査員が映像を見ている割合と、選手の演技に失敗があったときの各審査委員の注視行動について検討したもの。国際レベルの審査員は、エラーを検出するために視覚的注視を効率的に使用することが期待されたが、国際レベルの審査員は国内レベルの審査員とは異なり、エラー検出に注視を用いずにエラーを検出している可能性
先行研究と比べてどこがすごい?
器械体操の審判のパフォーマンスと視覚行動について検討した初めての研究
技術や手法のキモはどこ?
主要な結果
- 国際審判は国内審判と初級審判に比べてエラー検出の判定精度が高いが、国内審判と初級審判の間に差はない
- 判定カテゴリ、提示映像刺激の種類、及び両者の交互作用に有意な効果
- 身体難度評価のほうが手具難度評価よりも判定精度が悪く、リボンロープの試技はフープの試技より判定精度が低い
- 審判のレベルと判定カテゴリの交互作用、審判レベルと提示映像刺激の種類の交互作用では有意でない
- 初心者審判は国内審判、国際審判に比べて画面から目をそらす時間が短い。国際審判と国内信販の間では有意差はない。
- 注視によるエラーのヒット率は初級審判で26%、国内審査員で38%、国際審査員で37%であり、初級審判は国内審判、国際審判に比べてスコアが悪い
- 初心者は、最終的にエラー判定した試技を注視する時間が、最終的にエラーとして報告しなかった試技を注視する時間と比較して、有意に長い
- 国内審判員にのみ判定ミスの判断をするのに視線位置が影響しており、海外、初級審判は影響がなかった
どうやって有効だと検証した?
- エラー検出①(国際審判が定めた真値と被験者審判の評価の差):審判のレベル(初級・国内・国際)、判定カテゴリ(身体難度評価・手具難度評価)、提示映像刺激(フープ試技・リポンロープ試技)を要因とする分散分析、共変量として試技数で繰り返し実施
- エラー検出②:評価するカテゴリ、映像刺激をまとめた上で、TP、FP、FN、TNの混合行列の再現率ー(1−特異率)の指標で評価。→信号検出理論の弁別力指標(d’)。95CIが0を含むかどうかで判定
- 視線配置:各フレームについてエラーが起こった場所をピクセル単位でアノテーション。被験者が該当箇所を注視したかについて上述のd’スコアを求めることで評価。d’の85%CIが0を含むかどうかで判定。